【農機具王整備マニュアル】エンジンの始動原理・エンジントラブルの対処方法
農機具を現場で使おうとしたときに「エンジンがかからない!」という経験はありませんか?
新品の機械は比較的スムーズに始動しますが、古い農機具はどうしてもトラブルが起こりやすくなります。
この記事では「農機具王」の整備マニュアル動画をもとに、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの基本原理、そしてエンジンがかからないときの原因と対処法を分かりやすく解説します。
1. エンジンが動くために必要な3要素
エンジンは「燃焼の3要素」が揃わないと始動しません。
- 酸素(空気)
- 着火源(点火プラグなど)
- 燃えるもの(燃料)
ガソリンエンジンでは、
- プラグが火花を飛ばす
- ガソリンが燃える
- 空気と混ざる
という条件が揃うことでエンジンが回ります。
2. エンジンがかからないときの基本チェック
現場でエンジンが始動しないときは、以下を確認してみましょう。
- スイッチはONになっているか
意外と多いのが、スイッチが切れたまま一生懸命スターターを引いているケースです。 - 燃料コックは開いているか
燃料が流れていないとエンジンは動きません。 - チョークは正しく操作しているか
冷間時はチョークをONにして始動しましょう。
これらを確認するだけで「かからない原因」が簡単にわかることもあります。
3. ガソリンエンジンの特徴とトラブル
● ガソリンが古いと始動不良の原因に
- 新しいガソリンはピンクがかった透明色
- 古いガソリンは茶色っぽく濁り、異臭がする
古い燃料は着火性が悪くなり、排気ガスも臭くなります。
かからないときは燃料を抜き、新しいガソリンに入れ替えましょう。
● スイッチや配線の接触不良
昔の機械はスイッチやコネクターの接触不良で火花が飛ばず、エンジンが始動しないことがあります。
→ 接点を掃除したり、配線を見直すことが必要です。
4. ディーゼルエンジンの特徴とトラブル
ガソリンエンジンと異なり、ディーゼルエンジンは圧縮による発火で動きます。
そのためプラグは不要で、以下のような仕組みになります。
- セルモーターで圧縮をかける
- 圧縮された軽油が自己着火して爆発 → 始動
● 止め方の違い
- ガソリン → 電気(火花)を止める
- ディーゼル → 圧縮を抜く(デコンプ操作) or 燃料を止める
● ディーゼル特有のトラブル
- エア噛み
燃料ラインに空気が入るとエンジンがかかりません。ゴムホースの劣化や割れから空気を吸い込むことがあります。 - 排気ガスの色で原因を判断
- 白い煙 → エア噛み / 燃料が古い / 水混入
- 黒い煙 → エンジン内部の異常(燃焼不良)
エアを噛んだ場合は燃料ラインの点検・交換、そしてエア抜き作業が必要です。
5. ガソリンと軽油の違い
- ガソリン … 揮発性が高く、液体のままでは燃えず気化して初めて燃焼。
- 軽油 … 揮発性が低く、長期保管しても性能が落ちにくい。ただし水分が混入すると始動不良の原因に。
古いガソリンは特にトラブルの原因になりやすいので、保管燃料は定期的に入れ替えましょう。
まとめ
エンジンがかからないときは、原因を「空気・燃料・電気」の3つに分けて考えると解決が早くなります。
- ガソリンエンジン → プラグ・燃料・空気の流れを確認
- ディーゼルエンジン → 圧縮・燃料ライン・エア噛みをチェック
燃料の状態や排気ガスの色からもヒントが得られるので、普段から観察する習慣を持つと安心です。
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